ピクトグラムは、「絵文字」「絵単語」とも呼ばれ、あらゆる情報や注意を表示させるための視覚記号の一つです。
しかし、そこで使用される絵や文字にも意味があります。
ここでは、ピクトグラムの色に注目して見ていきます。

人間にとっての色の認識の意味・考え方

人間は色を認識することができます。
そして、私たちはいろんな波長に分かれている電磁波を見ています。
その中でも光は数ある電磁波の中でも人の目に入って明るさを感じる可視光線になります。
赤・黄色・緑などそれぞれ特定の色に見えるときは、特定の波長を見て色を識別しています。

自然や街を見回したとき、目に映る色の中でも一番目立つ色は何でしょうか。
恐らく「赤」ではないでしょうか。
なぜそう感じるのか、それには諸説考えられます。
ひとつは、ほかの色と比べて波長が長いから(波長が長い色は前方に飛び出したように見える特性があります)。
またもうひとつは、赤を認識する細胞が他の色のそれと比べて多いという点です。
そのため赤が目立つとされている考え方があります。

そういった経緯から、色の世界において「赤」は「危険・緊急・禁止」など、強く、そして切羽詰まった状況を知らせる際によく使われるようになったと言えます。

ピクトグラムの種類

JIS規格で定められたピクトは、全部で110種類ほどあります。
先ほど触れたように「危険・緊急」を示すもののほか、注意を促すもの、規制や危険を察知させるもの、人間の性別を示すもの、施設の種類を示すもの、禁止行為を表示するもの、公共交通機関や道路表示を示すものなどがあります。

1964年の東京オリンピックの時は、競技施設の誘導に一役を担いましたが、1980年代以降は、公共施設を中心に普及しました。

ピクトグラムにおける色

身近な例で言うと、例えば映画館で、本編の上映前に禁煙を促すピクトグラムが出ますが、そのマークは黒の線で描かれたたばこのマークを消すように赤の斜線が引かれています。
この場所での喫煙は禁止であり、そしてまた危険であることが強調されます。

しかし、JIS規格において色の取り決めは特に定められていません。
その為、自由に設定が可能ですが、一般的にはイメージ先行で色を決定することが多いです。

色の認識をうまく取り入れた様々な例

これらの色は、ピクトグラム以外の場面でも多く利用されています。
最たる例は信号機ではないでしょうか。
先ほどから述べているように赤には「禁止」の意味があり、黄色は、「注意」を促す色でもあります。
通行を許可する緑は「安全」を表現する色としても使われています。

また、非常口を示すピクトグラムも緑で表現されていますが、先ほどの信号の「安全」とは別の意味から緑が使われています。
火事の際、赤い炎に巻き込まれたときに「緑」が非常に良く目立つからです。
それは緑と赤が補色関係にあるからだといわれています。

このように、色によって示されるものは大きく変わってきます。色から認識される役割を理解し、ピクトグラムや案内に活用しましょう。