飲食店の入り口には、おすすめのメニューや価格などを知らせる立て看板がつきものです。
しかしこの立て看板、設置場所によっては人の迷惑となることもあり、場合によっては撤去を求められるケースもあります。

飲食店の看板は道路に設置しても問題ないのでしょうか?

飲食店の看板は道路に設置して良いのか

道路交通法では「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路においてはならない」ことを大前提としています。
例えば、道路工事や役所の調査などで路上に何かを置く場合でも、申請を出して許可が下りてからでないと実施できません。

公共事業でさえ許可が必要なのですから、個人経営でも企業経営でも飲食店が路上に好き勝手に看板を設置することはできません。
つまり、飲食店の看板を「道路」に設置して良いのかという質問に対しては、「許可を申請した上で定義に沿ったものならOK」という結論となります。

飲食店の看板はどのような範囲や条件なら設置できるのか

では、路上で見かけるたくさんの立て看板は、すべて自治体から許可を得ているのでしょうか?

看板は公共の道路の上では好き勝手に設置できませんが、飲食店の敷地内であれば設置しても問題ありません。
例えば店舗と道路の境目となる敷地内に、きちんと収まるように看板を設置していれば特別な許可を取る必要はありません。

しかし、「屋外広告物制度」という決まりがあるため、設置できる屋外看板にも制限があります。
屋外広告物制度とは、街の景観の維持と公衆に対しての危害の防止を目的として国土交通省によって定められた定義で、それを踏まえた上で自治体ごとに屋外広告物の面積、高さ、光、色など細かい規定が設けられています。

自治体のルールに従い、街や人に迷惑をかけない範囲内であれば、自分の敷地内に飲食店の看板を設置することは可能となります。

看板の設置が違反だとどのような罰則があるのか

上記のような規定があるにも関わらず、どう見ても敷地からはみ出している、通行の妨げになるくらい歩道に堂々と設置している、電信柱に看板を立てかけているなど、一目見ただけでも規定に違反している看板が目立つことも事実です。
では、このような看板には何か罰則があるのでしょうか?

例えば道路占用許可を取らずに無許可で看板を設置した場合は、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられます。
また、もし看板が倒れたり風であおられて誰かに当たって怪我をさせてしまった場合、看板を設置した飲食店側に民事で不法行為責任(民法709条)が問われることもありますので注意が必要です。

立て看板は飲食店の集客に役立つツールではありますが、その看板に迷惑をする人がいる場合、マイナスイメージがついてしまいます。
立て看板を設置する場合は、まず設置しても問題のない看板か、公衆に迷惑をかけない場所かということを確認してから設置を検討することをおすすめします。