ピクトグラムは、不特定多数の人に、国境の壁を越えて理解をしてもらえるものでなければなりません。わかりにくいものを設置しても、これも無駄な産物に過ぎません。

わかりやすさをキーワードにピクトグラムの特徴を見てみましょう。

ピクトグラムの基本的な特徴

基本的にピクトグラムは、文字と絵で標記されます。
文字・絵それぞれにおいて、的確に情報を伝達しないといけません。

さらに付け加えるとしたら、文字も絵も標準的な形ではなく、引き付けられるものであることも重要です。
一般的なピクトグラムに変化を加えることによって、強調したい部分を注目させる仕掛けも可能になります。

「わかりやすい」ピクトグラムの例

では、わかりやすいピクトグラムとはどんなものなのでしょうか。

まずは、日常的な要素がシンプルに描かれていることです。
私たち人間は、日々の活動の中で様々な光景を目にします。
ピクトグラムを見ただけで、日常の光景を思い出せるのであれば、すぐに判断でき行動することができます。

次に、文字や絵が美的に表現されていることでしょう。
人間はデザインや模様に惹かれていく要素があります。
ネオンサインでも看板でも、綺麗で美しいものや、デザイン性が豊かだと思わず目に入ってしまいます。

「わかりにくい」ピクトグラムの例

反対に、わかりにくいピクトグラムとはどんなものがあるでしょうか。
具体的な例を挙げてみてみましょう。

何が描かれているのかわからない
「広域避難場所」を示すピクトグラムは、逃げる人物像の下に丸いマークが記されています。
この丸いマークが落とし穴やマンホールに誤認され、解釈を誤るということがあるようです。

何が描かれているのかはわかるが、何を象徴しているのかがわからない
「ホテル・宿泊施設」を示すピクトグラムは、ベッドの上に人が横になっているマークとなっています。
そのマーク自体に描かれているものはわかりやすいものの、人が横になって寝ている=「ホテル・宿泊施設」とすぐに連想しづらいと言われています。

描かれているものの表す範囲がわからない
「電子機器使用禁止」を示すピクトグラムには、パソコンの絵に赤で禁止を示すマークが記されています。
このピクトグラムにより「パソコンを使用してはいけない」ということはわかりますが、「電子機器全般の使用禁止」とは捉えづらいようです。

向きの誤認による意味の誤解
「右側にお立ちください」という意味を示すピクトグラムは、向かって右側に人物が立っているマークとなっています。
しかし、自分が正面に立った時のことを想像すると、マークは左側に立っていることになるため、「左に立つ」と左右逆の意味に捉えてしまうことがあるようです。

日本人目線と外国人目線でのピクトグラムのわかりやすさ

日本人と外国人の考え方で特に差が生じるのは、文化の違いです。

日本ではお馴染みの温泉を示すピクトグラムですが、日本では温泉が各地にあるため、温泉から湯気が上る光景を誰もが想像することができるでしょう。
しかし、日本以外の人々はそういう文化がないので、想像が容易にできません。

また、日本人と外国人では、色々な場面で行動パターンが異なります。

例えば、雨が降ると日本人はすぐに傘を差しますが、外国人は傘をささない光景を目にします。
ヨーロッパは日本よりも乾燥し、赤道付近の熱帯の国は暑いので、雨にあたっても室内に入ればすぐに乾くという気候の違いからなる行動パターンです。

このように、文化や行動パターンが各国で違うため、物の考え方も変わってきます。
日本では当たり前の風習でも、海外では通じないこともありますので、各国の人々の考えによらなくても理解できるピクトグラムが求められています。