のれんには一体どんな役割があるのでしょうか。
元々の意味などから現代での意味や役割を辿っていきます。

のれんとは

のれんは店先や部屋の境に、日除けや目隠しなどのために吊り下げられた布です。
お店の入り口などでは、営業中かどうかを示すために出しているところも多くあります。
また、お店で使われるものはロゴや店名が書かれているものが多いです。

お店のブランドそのものの意味を持つこともあり、「のれんが傷つく」などの言葉があります。

のれんの元々の役割

のれんは日本独特の文化で海外ではあまり見ることがありません。
元々は日除けや風避け、塵除け、人目避け、防寒などの目的で使われていました。

鎌倉時代以降には商標などが描かれ、徐々にのれんにメッセージ性を持たせるようになります。
江戸時代に入ると識字率の上昇とともに、文字の入ったのれんが使われるようになりました。

寛永年間頃からお店の屋号や商標が入り、文字を染め抜いて、看板のような役割を果たすようになっていきます。
また、戦前の飲食店では指を拭くのにのれんを使っていました。
「のれんが汚れているほど繁盛している店」と言われていたようです。

現代での意味や用途

のれんの用途は、現代でも特に看板や人目避けなどの役割が継続しています。
特に金属の看板とは趣がことなるため、和のテイストを出したいお店では重宝されています。

人目避けとしては主に温泉施設の「男湯」と「女湯」を分ける際に役割を発揮しています。
また、閉店時にのれんをしまうので、営業していることを示す合図にもなっています。

冷暖房設備が整った現代では、防寒対策という点ではいまはカーテンに軍配が上がっています。
のれんで指を拭くというのも、現代ではなかなか考えられない概念です。
特殊なところでは「のれん分け」のような言葉として残っていたり、M&A(企業買収)の世界でも「のれん」という概念があります。

しかしながら時代が変わって役割は少しずつ変わってきているものの、のれんが活躍できる舞台は沢山あります。
最近ではおしゃれな質感の生地も増え、店先だけではなく、自宅のインテリアや効率的な空調のために使われることもあるようです。
また、カフェや飲食店でも「古民家」のリノベーションブームもあり、のれんとの相性は抜群です。

外国人観光客・インバウンド対策に

国外の観光客からすると、のれんが掛かっているだけでも異国情緒として目に映ります。
多言語でオリジナルプリントを施したのれんをかけておけば、ユーザーフレンドリーですし、ピクトサインの印刷などをすれば家紋のようでいて、和風になりすぎず、おしゃれにお店を演出できます。
旧来の日本文化と、現代社会の融合をさせながら、日本ならではの演出をしましょう。